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隠匿シリーズ☆番外編
第8章 次期執事は誰の手に
「あなたのやる気は認めます。ですが執事としての心構えが身についていない。主人の影となり、ときに自分を殺して動く。それが執事です。今のあなたは影どころか存在に主張がありすぎます」
「わ、解ってます。まだ俺……私が未熟だってことは。でも早く一人前になって、レオ様のお傍に仕えたいんです!」
「その焦りが禁物だと言っているんです。あなたがなろうとしているのはただの執事ではない。一国を背負う方の執事なんですよ。一昼一夜で身につくなら、誰も苦労はしません」
「はい……」
反省を見せるディラン。ジョシュアはひとつ息を吐いて、説教の空気を払う。
「それで、邸内に問題はありませんでしたか」
「あ、はい。壁紙が少し剥がれかかっていたんですが、業者に頼むまでもなかったので直しておきました」
「そうですか」
よくやったと褒める代わりに肩を叩くと、ディランは嬉しそうにする。
「あ、あの! 私、頑張りますから! 一日でも早くジョシュアさんに認められて、立派な執事になれるように努めます」
ディランの言葉にジョシュアは頷く。
ジョシュアもそれは切に願っている。レオの傍を離れると決めたときから、次の執事を育てることが最後の仕事になると解っていた。
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