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隠匿シリーズ☆番外編
第9章 突然の招待
『シズは我々が預かった。返して欲しくば指定された場所まで来い』
1枚目にはこう記されていた。2枚目に詳しい場所などが書かれているのかと思い、捲ってみると──。
『外に馬車を用意してあります。必要なものはこちらでご用意してありますので、手ぶらで乗ってくださって大丈夫です。あ、ただハル様はお持ち出来るだけの医療道具を持ってきてくださると助かります。長旅になりますので道中お気を付けください』
1枚目とは明らかに違う文字で丁寧に書かれている文面。すべてに眼を通したハルは身体から力がガクリと抜けた。
「なぁ、ナツ。これ最後まで読んだのか?」
「ううん……。僕しーちゃんになにかあったらって思うとすごく不安になって。それで慌ててハル兄の部屋に来ちゃって……」
「だろうな。いいから読んでみろ」
ナツに手紙を渡し、ハルは己の乱れた黒髪をくしゃりと手で掴む。
「……え? こ、これって……?」
「ああ、これはあいつらからの脅迫状……いや、招待状、だな」
紛らわしいことしやがって、と心の中で悪態を吐く。
ハルは斜光カーテンをシャッと引く。すると家の前にこの俺様タウンに似つかわしくない馬車が停まっているのが見えた。
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