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隠匿シリーズ☆番外編
第9章 突然の招待
「ハル兄! ハル兄ってば!! 大変だよ! 緊急事態!!」
「……んだよ、うるせーな。もちょっと寝かせてくれ。さっき寝たばっかなんだよ」
「寝てる場合じゃないんだってば! しーちゃんが……しーちゃんが浚われちゃった!」
「なにっ!?」
シズの名で、微睡みから一気に目覚める。白い手紙らしきものを握り、泣きそうな顔をしたナツがそこにいた。
「どーゆーことだ!? シズが浚われたって!? いつだ? 夕べ……いや、明け方……? なんで誰も気づかねーんだよっ!! 俺も研究なんてせずにさっさと帰ってくりゃよかった。なんでこんなときに限って俺は……っ!」
「ハル兄……」
シズがあの体質のせいで各方面から狙われているのは知っていた。だからいつでも守れるように傍に置いていたのに。こんな大事なときに傍にいられず、悔やんでも悔やみきれない。
「と、とにかくこれ読んで」
おずおずとナツが差し出した手紙をひったくるように奪い、その文字に眼を通す。
犯人が誰だろうが、シズにもしものことがあれば只じゃおかない──そんな気持ちで文字を追っていたのだが、2枚目を読み始めると徐々に気が抜けていった。
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