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隠匿シリーズ☆番外編
第9章 突然の招待
勇んで邸内に踏み込んだはいいが、初っ端から出鼻を挫かれる。なぜなら出迎えたのが、金髪に青い瞳をした小さな子供だったからだ。
「ハル様、ナツ様、お待ちしておりました。どうぞこちらへ」
その子供は執事が着るような服を纏い、これまた執事のような振る舞いで二人を案内する。
「ねぇ、ハル兄。この国ってこんな小さな子まで働かせてるのかな」
コソコソとナツはハルに耳打ちをする。
「んなこたぁ俺が知るかよ。……けど、もしそうなら、あのヤローとんでもねぇ鬼畜だな」
「鬼畜のハル兄が言うなら間違いないね」
「あぁ!? なんか言ったか?」
「う、ううん! なんでもないよ!!」
毛足の短い濃赤の絨毯が敷き詰められた長い廊下を歩いている間、そんなやり取りをナツとしていると、その子供は金の取っ手のある重厚な扉の前で立ち止まり、ノックをした。
「お見えになりました」
「……入ってくれ」
扉越しにくぐもった声が返ってくる。その声もまた子供のものだった。
「おい、シズは無事なんだろうな? お前なんか知ってるか?」
「お入りになれば解ります。どうぞ」
そう言ってその子供は扉を開いたのだった。
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