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隠匿シリーズ☆番外編
第9章 突然の招待
──レオが言うには、ここラインハルトの首都メフィスでこの“奇病”が流行り始めたのは2週間ほど前だそうだ。
成人の男女が突如として幼児化する──瞬く間に広がった奇病は、止める手立ても治す見込みもないまま、レオやアリエッタ、そしてジョシュアなど、アッシュブラン邸の住人たちも病に侵されてしまったそうだ。
ラインハルトは近隣の国でも医療に長け、医師たちは技術や知識を駆使し、治療しようとした。しかし原因すら見付からない。
そこで以前より交流のある遥か遠い国にいる医師のハルを頼ろうと、レオは思い立ったのが、今回のシズ誘拐事件の顛末だ。
「……話は解った。優秀なこの俺様を頼りたくなる気持ちも解る。けどなぁ、回りくどいやり方が気に食わねぇ。最初から俺様に言やいいじゃねーか。それをなんだ? 誘拐に見立てて無理矢理引っ張り込んで。挙げ句、シズまでこんな姿にしやがって」
ハルはサバンナの帝王の異名に相応しく、獰猛で今にも食い殺しそうな眼差しをレオに向ける。
「違うの、ハル兄! あたしが計画を発案したの」
ナツの反対側にちょこんと腰掛けるシズが、潤む瞳で見上げてきた。
(くっそ、そんな純真無垢な眼で見るんじゃねーよ。抱き締めたくなるじゃねーか!)
ハルの苦悩など知る由もないシズは、なおも少し怯えたような表情をハルに向けていた。
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