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隠匿シリーズ☆番外編
第9章 突然の招待
虚脱状態のハルをセレンは勝ち誇ったように、だがやはり嫌なものを見る眼を向けてから、レオに満面の笑みを向けた。
「本日は王太子様にご挨拶に伺ったのですが、加齢臭がするのでまた改めて伺いますわ。可愛い坊やとお嬢ちゃんたち。また逢いましょうね」
セレンは勝手にそう宣言すると、皆が呆気に取られている間にボフンと気の抜けた音と煙を残していなくなってしまった。
(加齢臭……加齢臭……かれ…………)
ハルにとって最上級のダメージを与える言葉が延々と頭の中で反芻する。
誰も彼もが憐れなハルに声を掛けられずにいたが、最初にシズが動いた。
「だ、大丈夫だよ? ハル兄は30代に見えないくらい若いし、EDだって克服したし。それにほら、カレーなんてラインハルトにあるわけないから、あの変な女の気のせいだよ!」
無邪気な顔で慰めるシズの言葉が一層ハルの心を抉る。
勘違いしているのはシズのほうなのだ。カレーではなく加齢なのに、と反論や間違いを正す気力も湧かず、ただただ乾いた笑いが漏れた。
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