この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
隠匿シリーズ☆番外編
第2章 王子様の憂鬱
「お母さま……?」
「んー、それもいいんだけど……」
「……お、お母さん?」
「んー、もうひと声!」
「…………ま、ママ……?」
「きゃあっ! それ! それ採用!!」
「……さっきからなにやってるんですか」
王城のバルコニーに据えられた透かし彫りのテーブルと椅子。
そこには作ったばかりのお菓子の数々が並べられ、湯気の立つお茶を囲んでアリエッタと母が座っている。
アリエッタは困ったような、気恥ずかしそうな様子で、母は少女のようにはしゃいでいる。
そこへ政務を終え、アリエッタを迎えにきたレオは窓枠に身体を預け、腕組みをして眼を眇めて問う。
「あら、レオ。早かったわね」
素っ気ない母の対応にレオはつい嘆息しそうになる。が、寸でで堪えた。
「それで? なにをなさってたんですか」
レオは「お疲れ様」と労いの言葉をかけてくれるアリエッタの額にキスをして、彼女の横に腰かけた。
.