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隠匿シリーズ☆番外編
第2章 王子様の憂鬱
レオの気が重たかったわけは、祖父母を嫌っているのでも苦手だからでもなく、寧ろ二人を敬愛し、大切に思っている。
しかし祖父母の性格は母に輪をかけて天真爛漫で、そして訪問者に対して大仰な歓迎をする。
孫のレオともなれば、歓迎っぷりはさらに大仰になる。
だが決して客人に居心地の悪さを感じさせず、愉しいひとときを過ごさせてくれるのだから、不思議なものだ。
レオも以前に訪れた際、うっかり一ヶ月も滞在してしまった経験がある。
まだ子供だった頃で仕事もなく、大事には至らなかったものの、王太子となった今はうっかりは赦されない。
しかし二、三日の覚悟は必要だ。……二、三日で済めばいいのだが。
ここマーシャル邸はひと度踏み入れたが最後、なかなか邸から出られない──迷宮の邸と呼ばれる所以だ。
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