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隠匿シリーズ☆番外編
第2章 王子様の憂鬱
「……いいよ、行っておいで。俺も今夜はここに泊まるつもりで来てるからな。けど明日には邸に帰ろう」
アリエッタに落ち度はない。優しく言えば、彼女は口ごもる。
「それがその……」
「ごめんなさいね、レオ。明日は私とキルト作りをしようと約束したのよ」
と言って母の隣に立つ祖母。母が勝ち誇った顔をする。まさかの二人目の敵出現に、レオは苦虫を噛み潰したような面持ちだ。
「そういうことだから。レオはお父さまとゆーっくりお酒でも呑んでいて。お母さまもジャム一緒に作ります?」
「そうね、そうしようかしら。さ、アリエッタもいらっしゃいな」
「あ、はい。レオ……あとでね?」
僅かに険しい表情になっているレオにアリエッタは気遣わしげな視線を送るが、母と祖母に挟まれて連れ去られてしまった。
残されたレオは言わずもがな、沸々とした苛立ちを覚えずにはいられない。それはもう、目眩がするほどに。
自分が選んだ妻を可愛がってもらえるのは喜ばしいことだが、こうも過剰にされればレオにとっては迷惑以外他ならない。
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