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隠匿シリーズ☆番外編
第2章 王子様の憂鬱
「ま……ご?」
母が反芻する。レオは尚も物憂げな顔を崩さない。
「ええ。一日でも早く母上や父上に孫を抱かせてあげるのが、何よりの親孝行と考えていたのですが……。アリエッタと過ごしたい母上の気持ちを無下にも出来ませんし……」
レオが話すうち、みるみる母の表情が輝いていく。レオはもうひと押しだと続ける。
「お爺さまやお婆さまがお元気なうちにひ孫の顔を見せたかったのですが、仕方ありませんよね」
ちらり、また見る。すると母は見たことがないくらい眼を爛々とさせている。
「盲点だったわ! そうよね、そうよ! 二人の子供なら、絶対可愛いわ!」
思い描いているのか、母は宙を見詰める。
「レオが生まれたときは王妃になりたてで、あまり面倒を見れなかったけど……今なら……!」
「子が生まれたら王城暮らしに馴れさせるために城へと移ろうとも考えてましたが……母上の夢を叶えるためなら暫く先になっても……」
「いいえ! いいのよ! 孫が先決よっ!!」
母は身を乗り出し、レオはそれを笑顔で受け止めた。
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