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隠匿シリーズ☆番外編
第3章 ご主人様の裏の顔

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そもそもキッシュがレオと出逢ったのは今から四年ほど前。まだ十歳になったばかりの子供の頃。
当時のキッシュは人間らしい生活とは程遠い生き方をしていた。
その始まりは更に遡ること三年前。キッシュが暮らす村を治める領主が代替わりし、唐突に不幸の鐘が鳴らされた。
それまでの暮らしは裕福と言えないまでも、正義感の強い実直な父と、身体は弱いが優しい母と慎ましくも幸福な生活だった。
農業を生業とする村全体も、人々は穏やかでのどかな雰囲気に包まれ。
活気に満ちてはいないが、笑い声の絶えない村だった。
それが前領主が他界し、息子が治めるようになり。
税の徴収の締め付けが一気に苦しくなり、人々から笑いが途絶えるのにそう時間はかからなかった。
波紋のように広がる村人の苦しみはキッシュや両親にも当然届き、その日食べる食事すら困るようになり。
だがそんなものはまだキッシュにとっての不幸の序の口に過ぎなかった。
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