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隠匿シリーズ☆番外編
第3章 ご主人様の裏の顔

次に来たのは雑草が生い茂る畑。レオは見渡し、眼を眇〈スガメ〉る。
「ここもとっくに死んだよ。僕の父さんや母さん……村の人たちと一緒さ」
レオは聞いているのかいないのか、畑の中へと入ってしゃがみ、草を手で掬い上げる。
「これは……」
「……食べるつもりならやめたほうがいいよ。舌が痺れちゃうから」
皮肉を込めて言うと、レオは振り返り眼を丸くする。
「これを食べたのか?」
「そうだよ。他に食べる物ないからね」
「キッシュはこれがなにか知ってるのか?」
「さぁ? 草だよ、ただのさ」
レオは辺りを見回し、他の草も触れては聞いてくる。
「ならこっちは食べたりしたか?」
「そっちは食べられたし、ちょっぴり元気が出た気がした。てゆーかひと通り試したよ。どれも味は大して変わりないけど」
青臭く、苦いのはどれも同じ。レオはなにを言わせたいのだろう。草をかじって生き延びてきたキッシュを馬鹿にしてるのだろうか。
けどそんな様子は見せず、どこか感心したように訊ねてきた。
「キッシュはこのすべてに見分けがついて、覚えてる……?」
「それがなに?」
生きるのに必要だっただけ。そう言いかけると、レオは子供のように顔を輝かせた。
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