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隠匿シリーズ☆番外編
第3章 ご主人様の裏の顔

「凄いじゃないか! キッシュ、素晴らしい才能だ!」
レオはキッシュの肩に手を置き、視線を合わせて褒め称える。
「別に凄くなんて……」
「いいや、なかなか出来ることじゃない。どれも似たようなもので、見分けをつけるのが難しいものばかりだ」
レオはまた草を見渡ししゃがみ、大事そうに生える草を撫でていた。
「なあ、キッシュ。気になってたんだが、お前の家の庭の花。あれはどうやって世話してるんだ?」
そして唐突に訊ねてくる。
「どうって……水をあげてるだけだけど」
「肥料は?」
「あると思う? あっても買えないけど。あのさ、さっきからなんなの?」
「お前、言ったよな? この村が死んでるって」
言ったけど、と口を尖らせて呟く。レオという男は人の話を聞かず、質問ばかりしてきて。なんなんだ、一体とむくれたくもなる。
「とんでもないぞ。死んでるどころか、ここは人を生かす村だ」
「……は? なにそれ、馬鹿なの? 見たでしょ、この村を。道ばたで死んでる人やあの有り様見て、よくそんなこと言えるよね」
“生かす村”? 馬鹿馬鹿しい。だったらどうしてこれだけの人が死んでいったんだ。
ただの旅人がなにを無責任に……と、キッシュはレオを罵った。
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