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隠匿シリーズ☆番外編
第3章 ご主人様の裏の顔

台の下に控えている彼の従者とおぼしき人からレオは何かを受け取り、掲げた。それは鉢に入る草だった。
「これはこの村の畑に生える薬草だ。首都で……いや、国でこの薬草がどれだけ貴重なものか知ってる者はいるか」
皆、顔を見合わせ、怪訝そうにレオを見遣る。
「これだけじゃない。ここには貴重な薬草が多くある。売れば作物よりももっと高く売れる。人を生かすこの薬草で、皆も生き返るんだ」
レオは語る。村の領主はすでに捕らえ、新たな領主が治めることになったこと。
法外に徴収されてきた金は補償し、生活の基盤が出来上がるまでを皆の前で宣言する、と。
そしてこの先は薬草を皆で栽培し、売り、村人の道標を示すと。
領主を、貴族を、国を信じられなかった人々は始め疑念に満ちた眼でレオを見ていたのが、彼の話にどこか説得力があるのか、ただ聞き入って。
「いいか、皆の者! 新たな領主が同じ過ちを繰り返すことは、この私が決して赦さない。だがすぐには信じられないだろう。それだけのことを我々はしてきた。
だからこれからは皆が見張るのだ。領主を、この私を、そして国を! 過ちを犯さないよう、皆が見張り、正しい道を示してくれ」
ざわり、ざわりと広がるのは動揺ではなく、今度は希望の灯だった。
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