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隠匿シリーズ☆番外編
第3章 ご主人様の裏の顔
若き王太子が鳴らしたのは、幸福の始まりの鐘。
あの日、キッシュに鳴った不幸の鐘が終わりを告げた瞬間でもあった。
「──キッシュ。待たせて悪かったな」
まだ人々のざわつきがおさまらないなか、台から降りたレオがキッシュの前に立った。
キッシュは一週間前にレオに取った失礼な態度にどうしていいか解らず、口籠る。
「どうした? あの元気はどこいった? 俺に怒鳴ったキッシュと同じ奴と思えないぞ」
「あ、あれは……! あんた……じゃなくて、王太子様って知らなかったから……です」
「やめろよ。レオでいい。それよりキッシュ。俺と来ないか?」
「僕が? レオ……様と?」
「そうだ。庭師を一人雇いたいと思ってたんだ。それに俺を見張る奴が一人くらい傍にいたほうがいいだろ?」
キッシュは迷ったし、母の眠る村から離れるのが嫌で断った。
だがレオは引かなかった。あれこれと問答の末に言いくるめられ、キッシュはレオに着いていくこととなり。
そうして今に至るわけだが──。
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