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after five
第1章 高慢な女
「…そう…まぁ気を付けてよっ」

直樹の時間を止めるのは業務に差支えがでることを恭子は誰よりも知っている。
直樹は、軍人のように節度のある態度で恭子に頭を下げた。

(ヒステリーめ…)





―数時間後17:00―

「江沼さん、確認したい案件があるので今よろしいですか?」

「…いいわよ、手短にね」

と、如何にも自分には重要な仕事があると言わんばかりにパソコンのキーボードを高速で叩きながら答えた。


恭子のパワハラに怒る女性社員は数多い。
そして、恭子は年下の男性社員にも暴言が絶えないのだ。


目線すら合わせない…
直樹は恭子に対して完全に情状酌量はないと確信した。

直樹は恭子のデスクに近い椅子に腰をかけて彼女を見つめた。


「…何よ…急に…アルツハイマーですか?」

(毎日イライラして…可哀想な女だ…)


「…ここでは言いにくい案件なんですよ」

そう言われて、恭子は直樹に視線を横目で一瞬だけ向けた。

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