この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
after five
第1章 高慢な女
先に和室で待機している直樹に恭子はコーヒーを淹れて持って入って来た。
同級生でもある2人は入社して間もない頃、お互いの友達を集めて合コンするなどの合流があった。
そのときは、会社で見る気の強い恭子ではなく、料理の取り分けをしたり、男性(直樹の友人ら)に気を使う古風な女性だった。
「小田さん、飲むでしょ?」
「ああ…いただきます」
ブラックではない…
砂糖を入れない、ミルクがちょっとだけのコーヒー…
それは、直樹の好むコーヒーを恭子は覚えていたのだ。
(これだけの器量があるのに…)
恭子は嫌われ者だが、女性特有の気遣いができる女なのだ。
そんな部分を知っている男性陣からは「もったいない…」と社内では呟かれる。
「んで、話って何?」
言葉とともに恭子が直樹に放つ視線は鋭い。
「…江沼さん…」
囁くように直樹は切り出す。
「…何よ…改まって…プライベートな話なら今はダメよ。お金もらってる時間なんだから」
「江沼さん宛ての事案…俺が処理しました」
恭子の顔は瞬時に青ざめる…
直樹は、持参した書類ケースから数枚の用紙を取り出した。
社内の育児休業手当て請求書である。
厚生課の恭子が担当したものだが、親類が経営する会社であるため妊娠した女子社員に退職するよう説得するのも彼女が会社から任された暗黙の業務である。
もちろん、
恭子自身も心を痛めている役目だ。
同級生でもある2人は入社して間もない頃、お互いの友達を集めて合コンするなどの合流があった。
そのときは、会社で見る気の強い恭子ではなく、料理の取り分けをしたり、男性(直樹の友人ら)に気を使う古風な女性だった。
「小田さん、飲むでしょ?」
「ああ…いただきます」
ブラックではない…
砂糖を入れない、ミルクがちょっとだけのコーヒー…
それは、直樹の好むコーヒーを恭子は覚えていたのだ。
(これだけの器量があるのに…)
恭子は嫌われ者だが、女性特有の気遣いができる女なのだ。
そんな部分を知っている男性陣からは「もったいない…」と社内では呟かれる。
「んで、話って何?」
言葉とともに恭子が直樹に放つ視線は鋭い。
「…江沼さん…」
囁くように直樹は切り出す。
「…何よ…改まって…プライベートな話なら今はダメよ。お金もらってる時間なんだから」
「江沼さん宛ての事案…俺が処理しました」
恭子の顔は瞬時に青ざめる…
直樹は、持参した書類ケースから数枚の用紙を取り出した。
社内の育児休業手当て請求書である。
厚生課の恭子が担当したものだが、親類が経営する会社であるため妊娠した女子社員に退職するよう説得するのも彼女が会社から任された暗黙の業務である。
もちろん、
恭子自身も心を痛めている役目だ。