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秘密の香り
第2章 結婚
「で、新婚生活はどうなの?」
アイスコーヒーの
グラスにささるストローで
氷を混ぜながら
沙穂が言う
「どうって、幸せだよ、ふつーに幸せ」
私はアイスミルクティー
甘いのが好きで
ガムシロップを二つ入れた
「相変わらず、甘いの好きだねー」
クスッと笑われた
今日は晴れて
太陽が眩しい
沙穂とは中学からの長い付き合い
優柔不断であまり意見を言えない私とは正反対で
思ったことは正直に口にする
私はそんな沙穂が好きで
密かに憧れていて
沙穂みたいになりたいな、なんて
思うことがある
ハッキリした性格は
恋愛にも表れていて
好きだと思ったら進む
寝たいと思ったら寝てみる、
ちょっと豪快すぎるかな
でも
そんな沙穂が羨ましいって
実はちょっと思う
まぁ結婚したんだし
敦以外の人と…なんて
大胆に自分の欲望に素直でいるって
なかなかできない
敦に
自分からしたい、なんて
誘ったことないし
あぁ 私ってほんと消極的すぎる…
「見て、あの人かっこよくない?」
テラス席から通りを見て
沙穂が小声で言った
「沙穂、彼氏いるじゃない、そんなこと言わないの!」
「ちょっとー、かっこいい!って思っただけだし!」
「桃香はさ、ないの?あの人かっこいいなーとか、寝てみたいな、とか」
「ね…寝てみたい、だなんて」
顔が赤くなるのが自分で分かった…
「敦くんだけしか知らなかったとしてもさ、想像したりしない?他のおとこ…」
想像かぁ…
あ…
高校時代の先生…
「あるでしょ、想像くらい、誰が浮かんだ?ん?」
「高校のときのさ…2年のときの担任の先生…」
憧れていた先生
想像の中で何度も
愛し合った…
「あー!懐かしい!あの先生かぁ」
こくり、と頷いた
「世の中、半分は男なんだし…自分にとってさ、いっっちばん相性のいい男に出逢いたいなって思う」
「桃香にとっての敦くんみたいな、ね?」
いちばん相性のいい男…かぁ
敦と私の相性…
たいしたケンカもなく
どちらかといえば
セックスもしている…
でも
相性って言われると
分からない…
本当は
こうしてほしいな、とか
言えないでいることが
あるから…