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あなたの面影
第7章 意外な敵
弱いものをいたぶるような、嗜虐の目付きで私を見つめる。

「住む世界が違うの。お兄ちゃんと地道子さんでは」

「……地味子じゃない。私の名前は野寺瑞波。住む世界ってなに? 私は別に自分が卑しい人間だなんて思ってない」

確かに私は普通すぎる中流階級の家で育ち、普通すぎるくらいにOLをやっている。
けれど人に蔑まれるような生き方はしてきていない。

「…………野寺瑞波。やっぱり名前も地味」

私の勢いに気圧されたのか、彼女は苦し紛れの表情で毒づく。

「名執怜香って名前は確かに私より華やかだと思うわ。見た目だって私よりずっと華やか。立派な名家の出身なのかもしれない……だけどね。そんなことで人を見下しちゃ駄目」

まだ若い怜香ちゃんだからこそ厳しく叱った。
曲がって育って欲しくないから。

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