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あなたの面影
第10章 告白
結局何が言いたいのだか分からないまま、私の言葉が途切れた。
しかし彼はそこで「そうか」と呟き、小さく二三度頷いた。
そしてなんの合図もなく立ち上がった。

「えっ……」

嫌われた?
ややこしいことを言う重い女ほど男が嫌うものはない。
昔なにかで読んだことがある気がする。

しかしそうではなかった。

「何してるんだよ? 行くぞ?」
「行くって……?」
「俺の部屋に決まってるだろ。話してやるよ、俺の秘密を」

深刻な顔をして彼が笑う。

私はパンドラの箱を開けてしまったのだろうか?

彼の家に向かう道中、いつものような他愛のない会話はなかった。
彼の秘密を知るということに緊張して口の中が渇く。
そんな私の胸中を感じ取ってくれたのか、彼は時おり無言で笑いかけてくれた。

秘密を知ってなお、私は彼を受け入れられるのだろうか?
そんな不安が胸を締め付ける。


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