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ダークサイド・ムーン- 催眠術師の秘密倶楽部 序章 -
第2章 父の死
「…虎ちゃん…ご飯…置いておくから…食べてね…」
「…お兄ちゃん…ご飯…置いておくね…」
諦めた様子の母と瑠奈が交代で、食事を持ってくる。
毎朝、母が出勤する姿を僕はカーテン越しに見る。
母は、家から離れる時に決まって僕の部屋の窓を哀しそうな表情で見上げる。
母の顔には、疲労感が浮かび上がっている。
仕事での疲労ではない。
僕に対する疲労だと判っている。
みんな出かけた後、部屋から出てリビングに降りていく。
テーブルの上には、母が僕の為に作った昼ご飯が置いてある。
出勤前の時間がない中、毎日きちんと昼食を作ってくれる。
母の作った昼食を食べながら、母の哀しげな姿を思い返した僕は、亡くなった父に母が言った言葉を思い出した。
「…虎ちゃんと…瑠奈を…きちんと育てるね…立派に育てるから…」
「…みんなで…力を合わせて…生きていくから…」
だから、母は頑張っている。
父との約束を守って。
僕は、どうすればいい…
こんな事ではいけない事は、重々承知している。
出口が無い…
考え込んでいる僕は、外が騒がしい事に気が付いた。
窓から外を伺うと、引っ越し業者のトラックが止まっている。
「引っ越しか」
僕は独り言を言うと、再び現状の打開策を考え始めた。
ピンポ〜ン
答えの見えない堂々巡りの思考を続けているとチャイムが鳴った。
ピンポ〜ン
スルーしていると、もう一度チャイムが鳴る。
ピンポ〜ン
「誰だよっ!」
しつこく鳴るチャイムに業を煮やし、ドアを開ける。
そこには、小柄な男性が立っていた。
「初めまして。隣に超してきました、神内と申します」
この出会いが、これからの僕の人生を大きく変える事になろうとは、その時の僕には気付く由も無かった。
「…お兄ちゃん…ご飯…置いておくね…」
諦めた様子の母と瑠奈が交代で、食事を持ってくる。
毎朝、母が出勤する姿を僕はカーテン越しに見る。
母は、家から離れる時に決まって僕の部屋の窓を哀しそうな表情で見上げる。
母の顔には、疲労感が浮かび上がっている。
仕事での疲労ではない。
僕に対する疲労だと判っている。
みんな出かけた後、部屋から出てリビングに降りていく。
テーブルの上には、母が僕の為に作った昼ご飯が置いてある。
出勤前の時間がない中、毎日きちんと昼食を作ってくれる。
母の作った昼食を食べながら、母の哀しげな姿を思い返した僕は、亡くなった父に母が言った言葉を思い出した。
「…虎ちゃんと…瑠奈を…きちんと育てるね…立派に育てるから…」
「…みんなで…力を合わせて…生きていくから…」
だから、母は頑張っている。
父との約束を守って。
僕は、どうすればいい…
こんな事ではいけない事は、重々承知している。
出口が無い…
考え込んでいる僕は、外が騒がしい事に気が付いた。
窓から外を伺うと、引っ越し業者のトラックが止まっている。
「引っ越しか」
僕は独り言を言うと、再び現状の打開策を考え始めた。
ピンポ〜ン
答えの見えない堂々巡りの思考を続けているとチャイムが鳴った。
ピンポ〜ン
スルーしていると、もう一度チャイムが鳴る。
ピンポ〜ン
「誰だよっ!」
しつこく鳴るチャイムに業を煮やし、ドアを開ける。
そこには、小柄な男性が立っていた。
「初めまして。隣に超してきました、神内と申します」
この出会いが、これからの僕の人生を大きく変える事になろうとは、その時の僕には気付く由も無かった。