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ダークサイド・ムーン- 催眠術師の秘密倶楽部 序章 -
第3章 出逢い
「引越で五月蝿くして申し訳ありません」
神内と名乗った男は名刺と"ご挨拶"と書かれた包みを差し出しながら詫びた。

「お父さんかお母さんは居る?」
「母は仕事に行ってます。父は、死にました」

答えながら受け取った名刺に目を落とす。

神内 惣司
大学教授(心理学)
心理カウンセラー

「心理カウンセラー?」
僕は渡された名刺の肩書きを呟いた。

「心に悩みを持っている人の話を聞いて一緒に解決するんだ」
神内は、ニコッとしながら優しい口調で答える。

「君、名前は?」
「弓月…影虎」
「影虎君か。いい名前だ。影虎君は何か悩んでるんじゃないかな?」
「えっ!?」
心を見透かされたみたいでドキッとする。

「名刺に大学のマークがあるだろ。それをジーっと見て」
僕は言われるがまま、名刺を見つめる。

「ジーっと見つめて…見つめていると…だんだんと…マークしか見えなくなってくる…そして…周りの騒音が小さくなって…僕の声しか聞こえなく…なってくるよ」

ああ。本当だ。
マークしか見えない。
神内の声しか聞こえない。

「明日も…お母さんは…お仕事?」
「…はい…仕事です…」
神内の声は心地よく、僕の頭に染み込んでくる。

「明日…影虎君は…お母さんが仕事に出掛けたら…僕の家に来なさい…」
「…はい…」
「僕との約束は絶対だよ…影虎君は僕に従い…言われた通りに…行動するよ」
「…はい…」
神内の言葉は頭に染み込み、心に刻み込まれる。

パチンッ!

神内が指を鳴らすと、騒音が耳に雪崩れ込んできた。
名刺に吸い寄せられていた眼が解放される。

「影虎君。約束は守るんだよ」
そう言い残すと、神内は荷物の搬入が続く自宅へと帰って行った。

翌朝、僕はいつも通り出勤する母をカーテン越しに見送る。

哀しげな表情で僕の部屋を見上げる母に、男が近寄っていく。

神内だ。

神内と二言三言会話を交わすと軽く会釈をして母は会社に向かった。
引越の挨拶でもしていたのだろう。

立ち去る母の後ろ姿を暫く眺めていた神内は、振り返り僕の部屋を見上げた。

神内の視線が僕に突き刺さる。
だんだんと周りの景色がボヤけ、神内の鋭い眼だけが浮かび上がる。
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