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ダークサイド・ムーン- 催眠術師の秘密倶楽部 序章 -
第7章 母親から女へ
「…そぅ…晩御飯…食べれそう?…お粥作ろうか?…」
「そうだね。ちょっと胃が痛いから、お粥が良いかな」
「…判ったわ…後でお粥…持っていくね…」
母は、少し安心したのか、笑顔になる。
やつれていても、母は美しい。

「じゃあ、部屋で寝てるね」
僕は、自分の部屋に戻る途中で振り返り、母に言った。

「母さん。学校、大丈夫だったよ。これから、ちゃんと行くからね」
「…そう…良かった…無理しないで…少しずつで良いからね…」
パッと母の顔が明るくなった。

久しぶりに見た母の笑顔で幸せな気分になった僕はベッドに潜り込んで眼を閉じた。

瞼の裏側に、美しい母の笑顔が浮かぶ。
「…虎ちゃん…」
母は、笑顔で僕に呼び掛ける。
「…虎ちゃん…」
「母さん」
僕も母に返事をする。
母の笑顔に見とれていると、どこからか声が聞こえてきた。

「影虎君。影虎君」
誰かが僕の名前を呼ぶ。

「影虎君。影虎君」
「だっ!誰っ!?」

僕の問いかけに、声が答える。
「お母さんに、催眠術をかけるんだ」
「えっ!?」

「お母さんに、催眠術をかけなさい。影虎君なら、できるよ。できるよ。できるよ」

「…虎ちゃん…虎ちゃん…」
身体を揺さぶられ目が覚めた。

「…虎ちゃん…大丈夫?…虎ちゃん…」
「か、母さん」

「…虎ちゃん…大丈夫?…凄く魘されてたから…」
眼を潤ませて青冷めた表情で母が尋ねる。

「大丈夫だよ」
僕は頸元の汗を拭う。
凄い汗だ。

「…お粥…作ってきたけど…食べれる?…」
母は顔を近づけ僕の体調を気遣う様に見つめる。
プルンッとした肉厚の母の唇が僕の口に触れそうなくらい接近している。

「食べるよ。少し寝たらお腹空いてきた」
僕は母に心配かけまいと、笑顔を作った。

「…そぅ…無理して全部食べなくていいから…多かったら残してね…」
「うん。いただきます」
僕は上半身を起こして、食べ始める。

「…凄い汗ね…風邪ひかないように…食べ終わったら着替えた方が…良いわね…」
母は、そう言うと部屋を出ていった。
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