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仔猫と狼
第13章 距離
「ああー。」
座っていた椅子にだらしなく身体を沈めた。
インタビューが終わり、肩の力を抜く。
何度やっても、メディアでの仕事は変に力がはいって疲れる。
片岡のアドバイス通りの服は周りに好評だった。
春らしい色使いで俺には珍しい服装だが、新しい魅力がある的なことを雑誌記者に言われた。
やっぱ、女の感覚は大切だな、参考になる。
椅子にだらしなく座っている俺に声がかけられた。
「あ、鳥居さん。」
「んあ?」
疲れていた俺は情けない声が出る。
「お疲れ様です。取材どうでした?」
にこやかに声をかけてきたのは高瀬だった。
「ああ、高瀬か。」
高瀬は、俺の後ろに立って、俺を見下ろしていた。
質問に対して答える気のない俺を気にせず、話を続ける。
「私も今日同じ雑誌の取材だったんですよ。今さっき撮影の方が終わったところで。」
「ふーん。」
適当な俺の返事にも対して興味はなさそうだった。