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仔猫と狼
第13章 距離
「収録…。」
ペースが乱されるような気がして、山田に片岡を休みにさせたが…。
あいつが飼い猫役をやっている限り、収録現場では絶対に会う。
監督にも気に入られていたし、猫の登場シーン分だけあいつは来る。
主役の俺はもちろん毎回行くわけで…。
「はぁ…。」
自分が困っていることは分かるが、どうしたいのかよくわからなくなってきた。
「鳥居さーん!そろそろスタジオから撤収するんで御準備の方、お願いしまーす!」
スタッフが椅子に座って自問自答していた俺に声をかけてきた。
撤収か…。
確かに、ここのスタジオはレンタルスタジオだからな。
使える時間が決まっているのが当たり前か。
答えの出ないまま、俺はスタッフに挨拶をしてスタジオを後にした。