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仔猫と狼
第16章 こぼれ落ちる
看護師に訝しげな視線を向けられながら診察室に案内された。
中には一度だけ会った片岡の母親がいた。
片岡は、母親に人払するようにしてくれた。
こいつのこういうところは本当に高校生に見えない。
そして、人払いが済み俺が説明しようとすると片岡は驚きの話しを始めた。
「私が鳥居さんに無理やり生でセックスを強要しました。後悔しています。なのでピルを処方してください。」
「は…?」
「え…?」
顔は見えないが、そうはっきりと言い切った片岡に俺と片岡の母親は戸惑いの声しか出なかった。
「ちょっと、まて!片岡…!」
「お願いします、お母さん!鳥居さんは何も悪くありません!ピルを処方してください!」
俺の言葉を遮るように叫ぶでもなく、しかし強い口調で言った。
衝撃的なことを言われて固まっていた片岡の母親は、落ち着きを取り戻すように深く深呼吸をした。
「鳥居さん。私たち親はあなた方を信用して娘をお預けしました。娘の言っていることは本当ですか?」
怒りを無理やり押さえ込んだように声が震えていた。
「お母さん!鳥居さんは悪くないって言っているでしょ?」
「美鈴、あなたの言いたいことは分かったわ。だけど、今は鳥居さんに聞いているの。」
これ以上言っても無駄だと悟ったように、片岡は黙り込んだ。