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仔猫と狼
第17章 素直になること
それを見て鳥居さんは再び、頭を下げた。
「ありがとうございます。」
「これは、君のためなんかではない。私たちの娘が望まない妊娠をしないようにだ。」
「はい。」
鳥居さんのほっとした表情に心臓が痛くなった。
なぜここが痛むのか…、答えは分かりきっていた。
でも、この答えは正しくない。
私は、この答えを知らないふりをしないと。
ここ何日間はすべて夢。
そう言い聞かせ、再び話し合いに参加する。
「今後、娘と関わりは一切断ってもらう。」
「はい。」
「本来なら警察の元へ連れて行くと頃だが、美鈴が許さないだろう。」
「感謝します。」
「それから、薬代などを請求するつもりは一切ない。こちらの前に二度と姿を現わすな。」
「お願いです。薬代は払わせてください。お金で解決するわけではないですが、せめてこれだけは…。」
そんな鳥居さんの言葉を聞いて、お父さんは深くため息を吐いた。