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《番犬》が女に戻るとき...
第11章 カリスマな御三人
「靴箱にラブレター…」
茜から手紙を受け取った零がぼそりと呟く。
小さすぎて茜には聴こえていなかったようだが。
“《取調室でカツ丼》に次ぐ、一度は経験したいベタな展開── ”
まさかこの現世に未だ残っていた風習だったとは…
零の目はキラキラしている。
「悪い…っ、私が先に読んでしまって」
「……」
「送り主は3組の細井さんか…。なかなか可愛い子だ、良かったな」
「…うん」
「──…!」
手紙を眺めて固まっている零。
放心状態?の彼は、茜の言葉に上の空のようである。
茜は回れ右で振り返り、投げた靴を拾ってから、改めて自分の靴箱に向かった。
「心配して損したな…っ。──…お」
靴箱を開けると……
バサリと落ちてくるものが。
「茜さん?その手紙って──」
「…ハァー」
靴箱を開けてからの反応が零と同じだ。
落ちた1枚と、上履きの上に置かれた5枚
合計6枚の手紙を彼女は鞄に押し込んだ。