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《番犬》が女に戻るとき...
第11章 カリスマな御三人
「読まないの?送り主はだ…」
「じゃあな」
「──っ」
零の言葉には耳をかさず
茜はさっさと階段を上がって消えてしまった。
いつになく連れない…
“ いや、連れないのはいつものことだけど ”
彼女の自分への反応に不満が残る零だった。
それに──
「──…」
人気者じゃん、茜さん
あんなにラブレターもらっちゃってさ
口を尖らせた彼がすねているように見えるのは気のせいか…。
まだ靴を履き替えていない彼は、底の泥を落とすようにコツコツ爪先を床にあてる。
靴底から落ちた少しの土が…
まわりに散らばる。そして
ジャリ.....
零の靴底が、散った土を再び踏んでいた。