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《番犬》が女に戻るとき...
第13章 球技大会 ~汗と鉛と、苛立ちと~

零がコートに入る。
「篠田、パス練しようぜ……て?」
仲間の呼び掛けを無視して
彼は相手チームに近づいていった。
ザッ ザッ、ザッ
コートのちょうど真ん中あたりで、リフティングをしながら足をならしていた茜。
彼女は直前まで近づく零に気付かなかった。
「──!?……篠田…?」
足元に影がかかり顔をあげる。
「…茜さん」
零は怒っているような顔をしていた。
「…試合には出ないでくれ」
「…!…なんだと?」
まさかの言葉
「周りを見てみなよ。これに出場する女子なんてひとりもいないし…」
「──…」
「…茜さんが男にまで応援されてるの見ると、我慢ならないっていうか…──、」
「…なるほどな」
「──!」
茜が彼を睨みあげる。
「…お前という人間がよくわかった」
そして彼女の口許は非憎げに笑った。

