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《番犬》が女に戻るとき...
第13章 球技大会 ~汗と鉛と、苛立ちと~

後半開始 3分後
同点にならばれた。
「……ハァ…ハァ…くそッ」
「……」
悔しがる茜の隣で、ゴールを決めた張本人がすまして立っていた。
この男……!!
「…篠田、バスケもやばかったけど…」
「サッカーまで…!! 」
むちゃくちゃ、上手い
茜は歯を食い縛ると同時に拳も強く握る。
何者だよ お前は…っ
「…っ、まだ同点だ…!!」
顔をあげて彼女は仲間に呼び掛ける。
彼等も頷いてみせるのだが、零のプレーを見せつけられたショックがなかなかにでかい。
──そして試合が開始された。
「篠田っ」
相手のボールは、ひとまず零に集まってくる。
ダメだ、篠田にボールがいくと不味い
「マークを外すな!」
「ごめんねっ…と」
きっちりとマークをつけているにもかかわらず、零は軽い身のこなしでそれらを振り切り、空いたスペースに飛び込むのだ。

