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《番犬》が女に戻るとき...
第13章 球技大会 ~汗と鉛と、苛立ちと~

零が中盤なんてウソだ。
彼はオフェンスもディフェンスも全てこなす。

どこにあるのかという体力でコート全面を駆け回っては…

ボールを奪い、シュートもうつ。



「……っ」


また零にボールがまわった。

今度は前線でパスを受け
彼はすぐにそこからゴールを狙った。



地を這うミドルシュート──



「…させるか」

「──!」


シュートコースを読んでいた茜の脚が伸びてきて、ぎりぎりでブロックする


ボールはそのままの勢いで上空に飛んだ。







..........




落下地点にいるのは茜と零



“ ヘディングでは間に合わない… ”


さすがに二人ではリーチに差がある。

茜はボールをとるのは難しいと判断した。


「ならシュートコースをふさいでやる…」


零はいまゴールを背にしている。


零がボールをとった後のシュートを阻止しようと、彼女は零の利き脚の後ろに立った。




───…




「…危ないよ茜さん」


「──…っ!」



ボールを持った零は振り返らず

重心を後ろに傾け、頭を落として空中で真後ろにシュートを決めた。




「オーバーヘッド…」


その身長で、なんてボディバランス…




茜のチームはあっという間に逆転された。





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