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《番犬》が女に戻るとき...
第13章 球技大会 ~汗と鉛と、苛立ちと~



───


サッカー 第一回戦
2-1対2-4

勝敗は予想通り、1組の勝利で終わった。


点差はあれ以降開かなかったので2対1だ。


ベンチから時おり試合を見ていた茜は、結局は手を抜く零の動きを見抜いていた。

試合後の零が此方を向いて何か言いたげだったけれど、茜は思いきり睨み返してやった。


今日ばかりは心の底から憎らしい…


それはあまりに一方的な、零という人間への嫉妬に他ならない。




「おつかれ…!!」

「──…」


機嫌の悪い茜のところに、チームメイトの男子が集まる。

そしておそるおそる声をかけ始めた。


「負けちまったけどっ惜しかったよな…」

「だ、だよなぁ!」


それは彼等にとってはある意味命懸けの行為だ。


その行為に煩わしさを感じながらも…ここで彼等に八つ当たりするほど小さな器ではない筈だと、茜は自分に言い聞かせる。

そしてなるべくトゲのない声で謝っていた。


「悪かったな…。女の私がでしゃばったから」

「…ええ?」


いつになく弱気な番犬に、何事かと慌てふためく男たち。


どうしちゃったんだ?

そんな風に言われたらさ…っ



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