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《番犬》が女に戻るとき...
第13章 球技大会 ~汗と鉛と、苛立ちと~

「そんな凹むなよ。たかがサッカーだし」
「…たかがだと…?」
「勝たなきゃならない、ってわけじゃないだろ」
「──…!」
たかがサッカー…?
確かにそれはそうだろう。
「元気だせって…(汗)」
勝ちに拘っていたのは、利己的な自分だけ。
他の奴らはちゃんと試合を楽しんでいた。だが私は──?
私は篠田への苛つきをぶつけていたにすぎない。
それに気付かされるとさらに申し訳なさが増して、こちらに気を遣ってくる男子どもを安心させようと、笑みを返す自分がいた。
「ふっ…、そんな心配しなくていい。大丈夫だ。少し疲れただけだから」
「…っ……?」
「ありがとな」
「…おっ…おう…//」
またまた慌てるチームメイト。
何故か赤くなった顔で互いに顔を見合わせた。
“ 番犬が謝っただけでもビックリなのに…れ、礼を言われた…っ!! ”
“ 笑ったぞ?なんかよくわかんねぇけど、普通に笑ったぞ? ”
いつもの殺されそうな黒笑ではない
“ お前…っ…少し可愛いとか思っちゃっただろ ”
“ うるせぇ!お前だって…っ ”
“ 久藤…普通にしてたら美人だもんな ”
ゴクッ
「‥‥‥」
頭上で繰り広げられるテレパシー会話
ベンチに座る彼女には聞こえなかった。

