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《番犬》が女に戻るとき...
第23章 夢を語る瞳
「すっかり愛想のないやつになったな…」
それまで仲の良かった4組の男子たちにさえ、だいたい似たような態度だ。
「ホームシックじゃね?」
「ばーか。ハルクは中学時代から日本に住んでるって言ってたろ」
「そうだっけ…」
クラスいちのお調子者が、すっかりクールキャラに変わってしまったのだ。
こんなハルクは面白くない。
…と、男子たちは不満げだ。
一部の女子の中からは、むしろそのキャラに萌えポイントを掴まれている子もいるようだが。
「…あの噂はマジかな。久藤にちょっかい出しすぎて、キレられたって話」
「大いに有り得るな。ハルクのやつ、…恐ろしいくらい気安く、番犬に接してたからなー。いつか痛い目見ると思ってたん…──」
「──…私がどうした」
‥‥‥
ハラリ
男子生徒の手から、持っていたプリントが落ちた。
彼等は固まったまま動きそうにないので、ふんと鼻を鳴らした茜は二人の横を通りすぎ、自分の机に鞄を置いて席についた。