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《番犬》が女に戻るとき...
第23章 夢を語る瞳
「……ヒマだな」
ボソリ
教師の話もろくに聞かず、窓の外に目を向けたハルクの口から溜め息が溢れた。
青崎からここに移り、ためしに授業を真面目に聞いていた時期もあった筈だ。
…しかし、ハルクはもう飽きてしまった。
茜に近づくため、能天気なキャラで無害な自分を演じてもいた。
…しかしそれにも、彼は飽きてしまったのだ。
そうなってくると、ハルクを取り巻く日常は実に味気なく…、クラスメイトのような《凡人》は関わる対象にならなかった。
“ また転校しよっかな…… ”
そんなことを考えているうちに、授業終了のチャイムがなる。
チョークを置いた教師が生徒たちに向き直った。
「──…じゃあ今日の授業はここまでだ。次までに予習の範囲すませてこいよー。あ、おい、ハルク」
「……? whats」
「演習の課題を提出してないのはお前だけだぞ。今日中に!ちゃんと提出しろ」
「…、えー…」
あからさまに面倒臭そうな反応をしたハルクだけれど、気にも止めず教師は教室を後にする。
授業を聞かないハルクへの、これが仕返しだとでも言うように。