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《番犬》が女に戻るとき...
第23章 夢を語る瞳
──…と、そんないきさつで
ハルクはひとり、教室に居残りというわけ。
カリ カリ カリ....
やる気を感じられないシャーペンの音が、4組でだらだらと鳴り続けていた。
“ こんな簡単なの、繰り返し解くことにナンの意味があるんだよ ”
もともと青崎で全く勉強をしていなかったハルクは、数学なんてちんぷんかんぷん。
しかし期末の試験にむけて勉強していたおかげで、すでに彼は理解済み──。
問題集に並んだ計算問題など、反復して解くべき価値もなかった。
“ 半分解いたし、そろそろいいかな~ ”
その果てしない問題量に嫌気がさして(宿題を溜め込んだのはおぬしぞ)
ハルクはキリがいいと(勝手に)判断したところでノートを閉じた。
さっさと教師の机に置いて
帰っちゃおう。
そう決めて鞄を持ったハルクは教室のドアを開けた。
「──…」
ヒュン っ
その瞬間、彼の前をすれすれで走り抜けた小柄な影が──。