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《番犬》が女に戻るとき...
第27章 デートですから
───…
「すごいネー、人が多い」
「そりゃあな」
「クリスマスなのに」
予定通り、駅を出た二人の目的地はサッカースタジアム。
ごった返す人に圧倒されつつ
やっと入り口を抜けて指定の席についた。
「篠田も初のスタジアムではないだろう?」
「まぁイギリスにいた頃は、VIP席でプレミアリーグ観てたけど」
「ほー(怒)」
プレミアリーグの試合なんて、サッカー好きなら一度は生で観戦したいと夢見るものだ。
さっすが海軍トップの息子だな
嫌味な…!
「──…はい」
ポフッ
「……ッ?」
ふわりと被せられたのは赤いマフラータオル。
「さっき売ってた」
「いつの間に買ったんだ(汗)」
「本当はユニフォーム買ってあげたかったけど…、せっかく可愛い服着てるから勿体ないよね」
「──…ん、まぁ…っ」
頭にのったタオルを首までずらして
茜は辺りを見渡す。
「服装は完璧に周りから浮いてるけどな」
「…デートだし、いーんじゃない?」
「…そうかも、しれない…」
違う、彼女は
見渡すふりをして、赤くなった顔を隠した。