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《番犬》が女に戻るとき...
第27章 デートですから



───



「──…惜しかった…な」


「だねー」


茜の応援するチームは 1対0 で準決勝敗退となった。



「後半の攻めは良かった。ポストに嫌われなければ逆転もできたんだが」

「……」

「……いや、決定力不足はいなめないな…。相手のディフェンダーも最後までいい集中力だったし」

「さすが、冷静な分析」


味方といえど、茜はひいきしない。
負けは負けなら、潔く認めるのが彼女だ。



そうは言っても残念なのが本音なわけで…


だが、この男はなーんにも気にしていない。


「いやー残念、残念。また来年ね♪」


勝とうが負けようが零には無関係だ。




「…お前、真剣に見てたのか」

「ずっと見てたよ。身を乗り出して声を張り上げる茜さんの後ろ姿」

「は? 違うだろ…っ」

「楽しかったな」

「だから違うだろ!試合を見ろよもったいない」

「せっかくの茜さんから目をそらすなんて…勿体なくてできないからさ」

「‥‥」


こいつ誘わなければよかった…。



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