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《番犬》が女に戻るとき...
第27章 デートですから
「ほらほら、はぐれるよ」
「…っ」
入る時も混雑していたが、試合後は観客全員が動き出すのでもっと人で溢れていた。
零はすかさず、茜の手を握る。
男らしく引っ張ってリードされると…
文句の言葉が、出なくなるじゃないか。
帰りの電車に乗るために、我先にと進む人々が多い中で、零が彼女を上手く誘導する。
正直なところ…茜にとっては片手がふさがって歩きづらいのだけれど…
嫌がっても 離さないよと
彼の手はがっちり掴んできていた。
祝勝ムードと残念ムードが入り交じり──
黒と赤のユニフォームが入り交じり──
そんなスタジアムの出入口で
恋人ムードを漂わす男女が一組──。