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《番犬》が女に戻るとき...
第27章 デートですから
零はポケットからスマホを取りだし、茜の肩を抱いたまま操作し始めた。
それを耳にあてがい、どこかに電話をかける。
「──Hi. I want to make a reservation....
see. …It's right now... now」
英語か…っ
本場の英語は、饒舌すぎて聞き取れない。
彼がそのまま長々と話しているので、途中から聞くのもやめて茜はゆっくり歩いていた。
‥‥ピッ
「ん、夜ご飯の場所決まったよ」
何か電話の向こうでもめていたようにも感じたが、通話後の零は笑顔で茜に振り向く。
「今、予約したのか」
「うん」
「何処だ?……って聞いても、教えないんだろう どうせ」
「わかってるねー茜さん。大丈夫だよ、奢ったげるから」
「そういうわけには…っ」
ぎょっとした茜。
零に金を払わせるわけにはいかない。
「いーんだよ、俺の我が儘だからサ」
スーパーの弁当ですまされてたまるもんかと、零は躊躇する茜をディナー会場へと連れていった。