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《番犬》が女に戻るとき...
第27章 デートですから
....
なんてこった…
「入れるわけないだろ…っ、こんな場所」
零が彼女を連れてきたのは、高層 & 高級マンションの上階にあるレストラン。
上品な照明が漏れる店内の、その入口にはスーツ姿の紳士が立っていた。
嫌な予感はしていたものの
茜は、自分には場違いとしか思えなかった。
「…考え直そう」
「嫌だよ」
「無理だろ…! 私たちはまだ高校生」
「──俺、はたち」
「…ッ」
そう、零は年齢偽装中──実は二十歳。
「平気だよ、ここ…私服でOKなカジュアルレストランだから」
茜が逃げ帰らない内に、零は入口の紳士に声をかけた。
御待ちしておりました、と
紳士が二人を中に案内する。
「これのどこがカジュアル…」
納得しかねる様子の茜だが、ここまで来ると引き返すわけにもいかなかった。
さっきまで、食事代は自分で払うと決めていた。
けれど…それも無理そうだ。
財布の残金を思い返しつつ、茜はがっくりと肩を落とした。