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アイドルの仕事は男を誘惑することだ
第4章 つながる喜び
こと子は吉川と並んで山道を歩いた。


「杉原さん、いつもより元気ない?」


うつむきがちなこと子を見て、吉川はそう言った。


「そんなことないよ。ただ、夢を追いかけるのも楽じゃないなって」


「夢って?」


「うん、私アイドルになりたいんだ。


それで、一応オーディションにも受かったんだけど…」


「ええっ、それはすごいね。杉原さん、可愛いもんね」


吉川の褒め言葉に、こと子はぼおっとのぼせた。


「いや、そんなことないよ。


私なんて、プロデューサーに子供っぽいって言われちゃったし」


「そうかな。僕は杉原さんって大人っぽいと思うよ」


「ありがとう、でもまだ全然なのよ」


こと子はふいに涙ぐんだ。


「あっ、嫌だ。どうして吉川君の前で…」


「気にしなくていいよ。杉原さん、疲れているんだよ」


吉川はこと子にハンカチを渡した。


「ありがとう」


「僕でよければ、いつでも相談に乗るよ」


こと子はぽろぽろ涙をこぼした。


「吉川君…!」


こと子は思わず、吉川に抱き着いた。


吉川はびっくりしたものの、彼女の細い肩をそっと包んだ。
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