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第5章 誘惑

こと子の中で、何かが既にはじけ飛んでいた。



彼女は獲物を狙う肉食獣のように、筋肉をしならせて上目遣いで「獲物」に接近する。



こと子は球一のネクタイをぐっと掴み、細い指でそれを緩めた。



それから球一の顔を執拗に覗き込み、



鼻をひくつかせて彼のうなじの匂いを堪能した後、その唇を奪った。



球一はなすがままになっていた。



この杉原こと子という娘は、予想以上に色っぽい女になった。



こと子の舌は球一の口内に侵入し、これでもかという程暴れまわっている。