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『うぅ』としか鳴けない
第8章 苦い過去の記憶
俺は、俺の理想の奴隷になれそうな女を物色していた。

上品で、知性と教養を持ちながら、性に貪欲で、野獣の激しさを持つ女……

まあ、夢物語だとわかっては居ても、そんな女を求めた。

お仲間さんに、よく言われた。『いつまでそうしているのか?』と。

俺は一年以上、奴隷を持っていなかった。

一年前、俺が不合格を突き付けた、あの、瑞葉が、性懲りもなく姿を現した。


『主さま。瑞葉は、気持ちを入れ替えました。』

それだけ言うと、その場に立ったままお辞儀をし、その頭(こうべ)を上げようとはしなかった。

俺は何も言わず玄関を閉めた。
『瑞葉に用は無い。』


しかし、何故か瑞葉が気になってならない。カーテン越しに玄関外を見る。
かれこれ30分、身じろぎひとつしない瑞葉が頭を垂れたまま。


俺は慌てた。『あのままじゃ、気を失って倒れる!!』



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