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『うぅ』としか鳴けない
第10章 灯子 第三章
耳たぶを甘噛みし、首筋へと唇を移動させていく……

首から肩へ、肩から繋いだ指先に向かうように、腕へと唇は進んでいった。

『んふぅぅん…ああっ…』

主の指先に力が入ると、自然と灯子も力がこもる。

灯子の胸にのしかかる主の鼓動を感じながら、同時に温度を感じ、それだけで蕩けてしまいそうな灯子。

長い長い時間をかけて、知り尽くしているはずの灯子の躯を愛撫する。

やがて、主の唇が灯子の指先に到達すると、丁寧に一本一本口に含み、柔らかく絡まる粘膜が指を包み込んでいく……

『知らないわ…こんな感覚…』

『嫌かい?』

『いいえ、素敵なの…胸が苦しいくらい…』

灯子は泣いていた。

『灯子、何故泣く?』

『わからない…嬉しいのに…苦しいくらい嬉しいのに…』

『灯子の躯が悦びに震えているんだな、きっと。』

『愛してるわ、琢磨さん…』

『ああ。愛してるよ、灯子。』




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