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『うぅ』としか鳴けない
第12章 父の決断
向かい合った間のテーブルに、興信所の分厚い書類が置いてある。


『君の両親は、御健在か?』

『父とは、小学生の時に離れ離れになって以来、音信不通で、所在すらわかりません。母は、自分が26の時に病死しました。来年、13回忌です。』

『法要は欠かさず?』

『はい。苦労ばかりの人生を送った母ですが、自分の誇りですから。』

『誇り、ですか。』

『はい。』

『お母さんは、君の生き様をどう見ているだろうな。』

書類を人差し指で「トントン」と、叩くように、目線を落としながら呟いた。

『…………』

『塾にも行かず、高校時代からバイトで授業料を稼ぎ、奨学金で大学に行き、弱冠24歳にして、起業し成功を成し遂げる。
お母さんにとっても、我が誇りの息子だろう…。』

『ありがとうございます。』

『しかし!君は歪んでる!!』

『はい…』

『何故、そうなった?!』



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