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『うぅ』としか鳴けない
第14章 結婚への道のり〜バランス〜
『私、灯子は、こんなに美しく飾ってくださった御主人様に感謝申し上げているのよ!母には刺激が強すぎるから、母の前では隠すのが良しとしてきたのだけれど、私は一度として、この墨の入った躯を後悔したことは無くてよ!』

主の気弱になった姿に、悔しさのあまり、泣いてしまった灯子。

『泣かないでくれ、灯子。美しいし、後悔はない。しかし、違うんだ!』


男親にとって、娘の存在は、格別なのだ。ましてや一人っ子の娘。傷一つあっても大騒ぎするのも父親なら、娘の幸せに大泣きするのも父親なのだ。

それが、躯中に入った墨を見て、激怒しない親はいないだろう。

だからといって、秘密にしておけない、必ずわかる時が来る。その時、「裏切り」と言われるような、姑息な手段で時間を稼ぎたくないんだ!


主の決意は強いものだった。
究極の決断。


『わかりました。灯子も御一緒させていただきます。』




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