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電池切れ
第1章 50歳・・8年ぶり
「こんなちんけな商店街にさ、よくもこんなシャレたバーができたわよね」


「ああ」


「だけど悟が実家にもどってきてたなんてね、

 この前の同窓会の時はまだ東京だったよね」


「うん、府中。何年住んだかなぁ。子供が生まれてすぐ・・だから18年か」



今どき珍しいな、たばこくゆらす男・・

最近は健康第一とほぼ全面禁煙の場所が広がったことで

たばこを吸わない、止めた、という男が増えたのに、悟は、吸う。

あの頃と・・変わらず・・




私と悟は小学校から高校まで一緒。

正真正銘の幼馴染ってやつ。

背中のランドセルに押しつぶされそうになりながら

鼻たらしてスキップしてた頃から

放課後の誰もいない教室で、2つくらい間あけて机に座って

付き合い始めたクラスの女の子と地味に燃えてた頃まで、知ってる。

悟の事・・


子供の頃は、互いのやることなすことにしょっちゅう

ちょっかい出したり探りあったり・・

よくありがちな、かわいらしい関係だった。

でもどっちかって言ったら、私のほうが悟に・・だったかな。

まあまあかっこよかったもん、こいつ・・

クラスの中だけじゃない。他のクラスの女子にも人気あって。


仲良しの由紀子からいっつもつつかれた。


「ねぇ、美月と悟ってお似合いだけどさ・・

 付き合っちゃおうとかないの?」


「ないよ、そんなの」


「え~だったらさぁ、あたしのことすすめてよ、彼女にどう?ってさ」



・・やなこった!・・


曖昧に笑いながら、心の中では怒鳴ってた。


でもそんな私の気持ちも知らずに悟は

同じクラスの女の子とできちゃった・・

・・ちぇ~!見る目無いヤツ!悟のバァカ!・・



結局・・

幼馴染って関係から抜け出すことなく

12年という月日を共に過ごし、

卒業式を境に私たちはバラバラになった・・


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