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電池切れ
第1章 50歳・・8年ぶり
「ねぇ、なんでまた実家に戻ってきたの?」
「親ももう歳だろ。うち、おふくろのほうが調子悪くてさ。
長男だからいずれはって思ってたし。親父一人じゃ大変そうだし」
「そっか・・そういや最近おばちゃん見かけないなぁ、スーパーで。
前はよく会ったりしてたけど・・私らだってもう50だもんね・・
親、もっとだもんね・・」
「美月んとこは?おばさん元気か?」
・・あ、そうか、知らなかったか・・
「2年前にね、亡くなったの。ガンだった」
「えっ?ほんとかよ・・悪い・・知らなかったから・・
そうだったのか・・」
私達は互いの家にもよく遊びに行っていた。
だからそれぞれの母親、おばちゃんにはよくしてもらった。
それこそ、自分の親みたいに世話焼いてくれたりして・・
「おじさんが亡くなった時はたまたま同窓会のあった後だったから
知らせてくれるやつもいたけど・・前の同窓会って、8年前か」
「そう・・だね、42の時、だもんね」
父が亡くなったのが8年前。
中学の同窓会があった年の、12月。寒さはゆるかった・・
10年ぶりの同窓会だったのと、携帯電話なんていう
便利な代物を手にしてから初めてだったから、
あっちこっちで連絡先を交換してた。
だから、お通夜にはたくさんの同級生がきてくれた。
「じゃあもう2人共・・さみしいな」
「うん・・まあね」
目の前のロックグラスの中を泳いでいるバーボンを、
大きな氷と交わらせてから口の中へと流し込む。
「でもさ、ちゃんと順番どおりだから。私が先に死んだりしないで
ちゃんと見送ってやったから・・いつかはね、むかえることだから」
カラッとした笑顔を見せようと悟のほうに顔を向ける。
その私と目を合わさないで悟のヤツ・・私の開いた胸元に視線を落としてる。
どこ見てんだよ・・とは思わない。
だって・・それが・・目的だから・・